局部の涙
終わりの笛が嫌だと　駄々こねて　始まりの笛を

買ってもらったのは

いつ頃だろうか

その始まりの笛を吹いて

母親の腹から知らない生命が出てきて

大量出血で亡くしたのは

いつ頃だったか

その赤い生命を

赤ちゃん　と呼ぶのだそうで・・・・・・・・・

城の模型が大好きで　王様のように冠にして　楽しむキチがいる

そいつに始まりの笛を吹いてやると

その城は　だんだんと大きくなり

やがてはキチを潰して　立派な城になった　本物の！

周りの者らは　私を見て

「キチ！　キチ！　キチ！」

と大声で罵詈を浴びせた

その大きく開かれた口たちに

思いきしダしてやろうかと思ったが

出かける前にダしてたので

ジンジンと痛くなる局部

痛みでヌルりと涙が・・・・・・・・・

これを

局部の涙　という・・・・・・・・・・

私はその痛みに耐え、痛みを涙に変えて

とりあえず　笛を鳴らした

すると

ある国の王の腕が消えて

王子の服は　はだけて

キスマークがバレて

国の存亡の危機に陥った

またある学生も服がはだけた

しかし屈することなく

愛していた者の方へと歩む

ああ　何たる偶然

城になっていたのだ

愛する者が城の下で

血肉になって迎え入れていた

学生は　困惑と性欲にかられ

すかさず勃起した股間を

その血肉に擦り付け

「キチ！キチ！キチ！」と涙ぐみながら大声で叫んだ・・・・・・・・・

赤と白の城ができた

めでたいな

他人事のように

いままでの出来事を白紙に記す学者

私は　異様な正義感と胸騒ぎに襲われ

その学者に向けて

始まりの笛を吹いた・・・・・・・・・・・

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