角で感じる女2
こんなところ誰かにみられたらどうしよう、と彼女は思った。
誰もいない教室で、洩れる熱い吐息を押し殺しながら机の角に股間を押しつけている女がいた。
彼女は密かに恋心を寄せている男子Lの机で自慰をしていた。
ああ、、、でも、止まらない、、、。
絶頂の予感がじわじわと迫ってくるのを彼女は感じた。
はやく済ませたいという思いと、まだ終わらせたくないという思いが頭の中でぐちゃぐちゃに溶け合った。
その思いははLの姿とも重なって訳がわからなくなった。
彼女はもっとも敏感な部分により刺激を与えるために、Lの椅子の上に片足を乗せて、体重をかけた。
好きなひとの椅子を土足で踏みつけている自分を心の中で罵りながらも、もっとも大事にしているものをないがしろにしている自分に、彼女は今まで感じたことのない倒錯した快楽に酔いしれていった。
彼女の息づかいは荒くなり、腰の動きが激しくなる。
机がガタガタと音をたてて揺れた。
彼女は机を押さえるために両手をついてしっかり押さえつけた。
机が固定されたことによって刺激がよりはっきりしたものに変わって、彼女は絶頂がすぐそこまで来てることがわかった。
「あ、イク、、、」
彼女は身構えた。
それから絶頂の波が彼女を呑みこみ、もみくちゃにされた。
彼女は目眩がするような陶酔感に身を委ねながらも、自分の身体がエビぞり状態になっている滑稽さを意識してしまって、たまらなく恥ずかしくなった。
弓の弦を引き絞るような快感がすこしずつ収まるのを彼女は待った。
やがて普段の自分を取り戻していくと、今度はある種の犯罪を犯してしまったような後ろめたさが彼女を襲った。
でもそれははちみつみたいな甘美な匂いに包まれてもいた。
はやくここを離れなくちゃ。
そう思いながらも彼女の足は動かなかった。
まるで何かやり残したことがあるみたいに。
彼女の下腹部はまだ熱を持っていた。
彼女は指先を下着のなかに入れ、割れ目に指を這わせた。
熱いヌルヌルとした汁が溢れていた。
彼女は退屈な女だった。
周りにもそう思われていたし、自分でもそう思っていた。
何かに夢中になれるような熱情もなく、まわりには形だけの友人がいるだけで、自分の考えを発信したりすることもなかった。
それでも彼女はときどき、とんでもなく馬鹿な真似をしでかしたくなるような、火花にも似た激情の迸りを感じていた。
それは彼女の心のずっと奥の方で、出番の合図を待っているような感覚であった。
誰もいない教室で、彼女はいまがそのときかもしれない、と彼女は思った。
このあたりかな。
彼女は自身の汁がからみついた指先を、そっとLの机の上にこすりつけた。
そこはLがよく机につっ伏して居眠りするときの顔の位置であった。
臭くないかな、と彼女は心配になった。
でもすぐに、知ったこっちゃないわ、という感じでふんと鼻をならして打ち消した。
いつになく強気になっている自分に彼女は驚いた。
もしかしたらわたし、L君のことが好きなわけじゃないかもしれない。
出し抜けに彼女はふとそう思った。
どうしてそんなふうに思ったのかはわからなかった。
L君のことが好きかどうかなんて些細な問題なように今の彼女には思えた。
それが恋心だったとしても、それはそれで結構なことじゃない、と彼女は思った。
彼女は教室をあとにした。
次の日の授業中、先生から配られるプリントから自分の分を取って、後ろの生徒に手渡した。
そのとき後ろの席にいるLの方を盗みみた。
Lは机につっ伏して眠っていた。
トクンと彼女の心臓が脈打った。
まるでL君にアソコの匂いを嗅がれているみたい、と彼女は思った。
彼女は正面に向き直ると、顔を伏せた。
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